The Power and the Glory
GENTLE GIANT
本作は「権力の腐敗と理想との差」という重厚なテーマを掲げ、当時の社会情勢や政治的空気を色濃く反映した、バンド史上でも特にシリアスな雰囲気を持つアルバムとなっておりますわ。 もともと彼らは、変拍子を駆使した緻密なアンサンブルや、複雑で多層的なコーラスワークを武器とする、シニカルで超絶技巧なプログレッシブ・ロック・バンド。しかし本作では、コンセプトに沿った統一感のあるシリアスなムードが全編を覆い、緊張感と構築美が絶妙なバランスで両立していますわ。楽曲は時に鋭く切り込み、時に静かに語りかけるように展開し、その抑揚が物語性をより際立たせていますの。 その結果、複雑で挑戦的でありながら、驚くほど聴きやすく、知的で深みのある完成度を誇る作品へと仕上がっているのですわ。精緻な演奏と鋭いテーマ性が絡み合い、聴く者の思考を刺激し続ける...。 まさにこれこそ、プログレッシブ・ロックの醍醐味に他なりませんわ!